湧水のせせらぎや浅間山を堪能しながら味わう石臼挽き手打ちそば
軽井沢で45年愛されている追分の名店「きこり」の姉妹店
▲ワンちゃんと一緒に楽しめる人気のテラス席。眼前には雄大な浅間山が広がり、隣には湧水の小川が流れる。
手打ちに適したそばの見極め。自家製粉とブレンド
大池 おそばの修業はどこでされたのでしょうか?
小金澤稔さん(以下敬称略) 今年で45周年を迎えることができました。節目節目にいろいろな出会いがありました。開店当初、京都から営業にみえていた鰹節店の方との出会いが「きこり」にとって大きいものでした。特に「出汁」へのこだわりを深く指導していただきました。7周年を迎えた年に現在の店舗を新築しました。その時の工務店がそば業界では有名な方の店舗に携わっていて、紹介されたのがきっかけで幾多のアドバイスを受け、そばへのこだわりが尚いっそう強くなりました。玄そばの仕込れからそば粉にする工程及び、そば打ち道具へのこだわりなどに強く感銘を受けました。
▲のど越しをよくするための「つなぎ(割粉)」に使用する小麦粉は、冬は中力粉と強力粉の中間、夏はグルテンの多い強力粉を多くするなど時期によって強さを調整。
大池 自家製粉のそば粉を手打ちでというお店は軽井沢でも少ないですよね。産地にもこだわりはありますか?
小金澤 国内産の玄そばのみ仕入れます。当店で使用する産地は、生産量一位は「キタワセ」種、本州全国に作付けする「信濃一号」、北関東で作付けする「常陸秋そば」、福井県を中心とする「丸岡小そば」などあり、それぞれ「味・風味・香り」が違います。それを地元産を中心にブレンドします。また、玄そばを仕入れる時には、収穫時期(黒化率)を見ます。水分も大切です。15.5~16.0%が手打ちそばには適していると思います。製粉したそば粉は酸化しやすく、3日程で品質が悪くなってしまうため、真空にして保存します。基本はそばを打つ前日に製粉することを心掛けています。
▲茨城の常陸秋そばの玄そば(収穫されたままの殻付きのそばの実)。
1種類だと味が安定しないため、ブレンドして平均的に美味しいおそばをご提供。
▲磨いた玄そばを7段階に分け、大きい順に殻をむいて、石臼で挽く。小さいものは殻をむかずに挽き、軽い石臼で粗めに挽いたものと田舎蕎麦に。石臼の表面の小さな穴から熱を逃がして風味を保ちます。
そばを極める職人の育成。「きこり」「香りや」について
大池 こちらではそば職人の修業生を育成されているんですよね。
小金澤 今まで16人修業して、13人が全国に店舗を構えています。その内でも3店舗がミシュランに掲載されています。現在は7名が修業しており、早朝から香りや隣接の製麺所にてそば打ちをしています。修業期間はほとんどが5年以上します。卒業生には木鉢がプレゼントされ、「きこり会」の一員となります。「きこり」「香りや」と屋号が違いますが、「きこり」はシンプルなそばを中心に、そば粉を使った料理など宴会も承っております。「香りや」は、女性及び小さなお子様にも楽しんでいただけるように、セットメニューやスイーツが豊富な店を目指しております。
大池 敷居が高くないというか、カジュアルな感じなんですね。
小金澤 現在「香りや」は本店(御代田)と軽井沢発地市庭店があります。各地できこりの手打ちそばを楽しんでいただけるように「香りや」という名前でフランチャイズ展開を目指していきたいと思います。
▲Aセット もりそば(くるみダレ付)
そばの厚さと幅は1.2~1.4mmの正方形で、角がスパッと立っていないとダメと仰る小金澤さん。鰹節もこだわっており、温かいそばつゆとつけつゆは出汁も作り方も異なるそう。
▲Bセット ぶっかけ(おろし付)
皮を剥いたときや水を加えたときにそばの良い香りが広がるが、揮発性成分のため、時間が経つと香りが損なわれる。茹でたてを食べて欲しいとのこと。
▲Cセット つけめん(きのこ付)
きこり製粉・製麺所
手打ちsoba 香りや
〒389-0201 御代田町塩野3371-1
TEL: 0267-31-6620
営業時間:11:00~15:00(L.O.14:30)
定休日: 月・火曜日