軽井沢グルメ探訪記「KARIYADO CAFE & DINING」

知る人ぞ知る「借宿」エリアに2022年3月にできたカフェ＆ダイニング
ワンちゃんと一緒に寛ぎながら丁寧に作られた料理を楽しむ

時間と手間を惜しみなく丁寧に作られた自家製料理

金子　ベーコンをご自分で作られているんですね。

山北太一さん（以下敬称略）　7年かけて少しずつ味を変えたり、試行錯誤しながら作っています。10種類のスパイスにだいたい2週間ほど漬け込んで、2日かけて乾燥させます。それから、温燻といって、60℃くらいで約2時間かけて中まで火を通した後に、煙を6～7時間入れて、さらに一晩寝かせてようやく食べられる状態になります。燻製するときに酸味が出るそうなのですが、お肉の乾燥がうまくいっていないと湿気がその酸味を吸着してしまって、すごく酸っぱくなってしまうんですよ。

金子　すごい手間が掛っていますね･･･なぜご自身で作られているのですか。

山北　もともと料理の趣味があったということもあるのですが、食肉加工品は保存等の関係で仕方なくいろいろな添加物が入っているのですが、無添加で作りたいと思いまして。あと、先人がいろいろ考えて美味しいものを作ってくれているので、それをレシピ通りに丁寧に作るとどうなるのかということに興味があって。それでベーコンも作ってみたら全然市販のものと香りとか違いました。

金子　それでこんなに美味しいんですね！ほとんどが自家製ですよね。

山北　基本的にはうま味調味料はできるだけ使わないようにしています。実は軽井沢の人はコストパフォーマンスにとても敏感だと私は思っています。レパートリーは凡庸でも、ひとつひとつの料理をまじめに仕上げて、それなりに満足する量を食べられるということが、ここ軽井沢で選ばれていくにはとても重要なことだと思い、日々精進しています。

軽井沢好きにはおなじみ
借宿の路地裏で寛ぎの時間

金子　お店の名前はこの辺りの地名からですよね。

山北　KARIYADOという言葉がアルファベットで書くと可愛らしくて、収まりがよくて良いなと。

金子　軽井沢でハンバーガーを提供しているお店って珍しいですよね。

山北　軽井沢でお店を出したいと思っていろいろ見ていたのですが、この物件に一目惚れしてしまって。尊敬しているモスバーガーの創設者、故櫻田さんの二等地戦略に共感しており、場所も自分の中で理想的で。駅前やメイン道路沿いだと、通りすがりの方が来てくれるけど、味に期待をしていない人を相手にしていると商売が怠ける。逆に二等地だと怠けたら二度と来てくれないと自分を律する考え方ですが、自分がお店を出すときにそれが一番大事だなと。ちゃんと美味しかったと思って帰っていただくことを絶対サボってはいけないなというところはありまして。借宿エリアという場所は観光客にはあまり知られていないけど、別荘の人や住んでいる人は交通情報などでよく聞くので絶対知っている。本当に軽井沢に惚れ込んでワクワクした気持ちを持って過ごしたいという人達にしかなかなか気づかれない場所で、ちゃんと認めてもらえるお店にしたいなと思っております。

場所ありきで、ここで何をやったら地域の人にかわいがってもらえるのかということを考えたときに、ハンバーガーとかカフェのイメージが浮かんできました。小学生の頃から軽井沢に来ていて様々な情報があった中で、テラスの感じとか特殊ですごく良いと思っていたので、ここでハンバーガーというのはいけるのではないかと。

金子　一目惚れとのことですが、お店のどの辺りが気に入っていますか？

山北　テラスが広々とあったので、ワンちゃん連れも楽しめるスペースにできるなというところです。ワンちゃんと軽井沢でレストランをやりながら、日々こんな空気の良いところで暮らせたらという夢が叶う物件だなと。軽井沢ではワンちゃんと一緒に楽しめるスペースの需要が多く、供給がまだまだ足りていないと思っていて。ましてや室内でというところが全然なくて。

奥の席は床暖房があるため、中型犬以上は玄関前の席とテラス席になってしまうのですが、小型犬は店内全席OKにしたらワンちゃん連れの人も多く来てくださっています。あと、美術大学で木工を学んでいたので、ゆくゆくは家具を自分で作ったり、インテリアショップを併設したりしていきたいですね。