晩秋から冬にかけて、美しい野鳥のさえずりが響き渡る「軽井沢野鳥の森」。日本三大野鳥生息地のひとつに数えられるこの地は、「美しい自然を守る」という先人たちの強い精神と努力によって築かれた軽井沢を代表する聖地です。
野鳥観察のベストシーズンが到来しました。木々が葉を落とし、見通しのよくなる晩秋から冬にかけては、ベニマシコやオオマシコ、ヒレンジャクなどが姿を現します。
約100haの広さを誇り、年間を通して約80種類の鳥類が観察できる「軽井沢野鳥の森」は、1974(昭和49)年に国内で初めて「国設野鳥の森」に指定されました。
かつての日本で鳥といえば「かごの中で飼うか、食糧か」という時代。そんな中で「野の鳥は野に」と説く中西悟堂が、多くの文化人の支援を受け創設したのが「日本野鳥の会」でした。星野温泉の二代目・星野嘉助が入会し、野鳥について学ぶようになると、自然環境保護活動に力を入れ、戦時中には木の伐採を拒み、戦後の米軍演習地建設計画に対して中止を求めるなど、軽井沢の自然を守ることに尽力しました。このような二人の長年の功績が国に認められ、「国設野鳥の森」が制定される際に、軽井沢の森が選ばれたのです。
そんな多くの先人たちに守られてきた美しい森に響き渡る鳥たちのさえずり。歴史に想いを馳せながら、美しい歌声に耳を傾けてみませんか。