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軽井沢グルメ探訪記「TRATTORIA IL PINGUINO」

イタリアにある大衆食堂の味を地元の美味しい食材を使って表現
上皇上皇后両陛下の出会いの場となった軽井沢会テニスコートの通りにオープン

イタリアを感じる内装
シンプルで美味しいをめざす

栁澤 ロゴやお店の内装にペンギンが使われていますね。

所伸一さん(以下敬称略) 以前働いていた上田にある「Trattoria nonno(トラットリア ノンノ)」というお店から独立した人が皆、自分のお店に動物の名前を付けていまして。働いているときに「お腹が出ていてペンギンみたいだ」と言われていたので、ペンギンを入れました。お店をデザインしてくださった方がロゴもデザインしてくださって。お店やロゴをイタリアのフィレンツェの街中になるトラットリアをそのまま切り抜いてきたようなシンプルな感じにしたかったので、何パターンかあるうちからこれを選びました。

栁澤 シンプルなデザインがコンセプトなんですね。

 料理もあまり派手になりすぎないように心掛けています。“トラットリア”というのは“大衆食堂”という意味で、高級店ではなく地元の人が利用するようなお店なので、派手な盛り付けはない。軽井沢の方はイタリアに行ったことがある方が多いので、その辺りをちゃんと理解してくださっていて、見た目の派手さなんて要らないと仰ってくだいますね。シンプルで美味しい・・・レストラン寄りではないですが、素材の味を活かした料理を提供しています。

フィレンツェの街中にあるトラットリアをイメージした店内には、パスタを作る機械やペンギンの雑貨が置いてあります。テーブル席が12席あり、落ち着いた雰囲気。

栁澤 家庭料理というか、その地方の伝統や美味しさってありますよね。

 そうですよね。ただ、伝統的だからといって何も手を加えずに料理を提供すると、初めて食べた人がその料理を“美味しくないもの”と認識してしまうかもしれない。それが嫌なので、完全なイタリアンではなく、フレンチや和食の知識や技術を取り入れて、美味しく食べてもらえる工夫をしています。

前菜。上から時計回りに生ハムとニョッコフリット(イタリアの揚げパン)、インカのめざめとフォンティーナチーズ(北イタリアのチーズ)のオーブン焼き、紫キャベツのアグロドルチェ(甘酢漬け)、揚げたカリフラワーをアンチョビとエシャロットで和えたもの、野菜のマリネ、信州サーモンのカルパッチョ、ポレンタ(乾燥させたトウモロコシ。北イタリアの保存食)にバッカラ・マンテカート(干し鱈とジャガイモのピューレ)を乗せたもの。

生産者が見える地元食材
作りたてのパスタと味わう

栁澤 所さんは上田市のご出身なんですね。生まれ育った長野でお店を出されたのは何か理由があるんですか?

 お店を出すときに長野しか考えていなかったですね。ここに行けばこの食材が手に入るってわかる場所で出したかったので。東京は全国から良いものが集まりますが、それを作っている人に会うことはなかなかできない。ここでは車で1時間ほど行けば、野菜が育っている畑があったり、牛が育っている牧場があったり、直接見に行ける。生産者とお客様は繋がらないので、生産者の方からお客様へ伝えて欲しいとよく言われます。なので、自分で直接作っている人と話ができたり、育っている環境を見ることができる地元の食材が良いなと思っています。例えば、サラダは東御市の方が「自分の子どもが安心して食べられる野菜作りをしよう」と完全無農薬で作っている野菜を使っています。前菜に使っている生ハムは、信州サーモンなど食材が豊富な八千穂で、豚の飼育から生ハムの加工まですべて一貫して行っている会社で作られたものです。

パスタランチは1種類で、予約なしでも注文することができます。その日の食材によってパスタが変わり、取材日は「信州サーモンとキノコのタリアテッレ」。サラダとパン、スープが付きます。ドレッシングも作り置きせずその場で作っており、今回はフランボワーズのビネガーとエシャロット、アカシアの蜂蜜そしてクルミのオイル。

栁澤 小麦粉も地元のものですか?

 長野県産の“華梓”を使用しています。パスタは茹でるので、小麦粉の違いはあまり出ないのですが、パンは結構違います。コースのパンはお客様が来店なさってから成形して、焼きたてをお出しします。人によって様々な考え方があるのですが、僕は生パスタも作ってからあまり時間が経っていない方が美味しいと思っているので、コースでご提供するパスタは当日作っています。生パスタは茹でる時間が短い分伸びるのも早いため、茹でる前にお料理の説明をして、できあがったらすぐにお召し上がりいただけるようにしています。ワインは地元のものとイタリアのものを半々で置いていますが、イタリアのワインはすべて自然派のワインです。

お任せコースは前菜の盛り合わせ、スープ、自家製パン、パスタ2種類、メイン、デザート。この日のパスタはガルガネッリというペンネのようなショートパスタに上田市菅平にある「ダボス牧場」の牛の首肉を使ったミートソースと東御市のトラ豆を煮込んだソース(1)。もう1種はパッパルデッレという幅があるパスタにホウレンソウが練り込んであり、ソースはバターにセージの香りを移して、上から羊のペコリーノチーズをかけたもの(2)。メインはイタリアのトスカーナ地方の郷土料理である牛肉のペポーゾ。赤ワインと胡椒と数種類のハーブだけで煮込んだシンプルな料理(3)。デザートはゼラチンの代わりに卵白で固めたパンナコッタ(4)。

ピングイーノさんで料理を提供する食器としても使われている「RICHARD GINORI(リチャード ジノリ)」のバースデープレート。エントランスの頭上に飾られております。

軽井沢駅から約1.8km(車で約4分)。
旧軽井沢銀座から一本入った、軽井沢会テニスコートの通り沿いに位置しています。

LA CUCINA ITALIANA IN KARUIZAWA
TRATTORIA IL PINGUINO

〒389-0102
軽井沢町大字軽井沢861-3
☎ 0267-34-0789
ランチ 12:00-14:00LO
ディナー 17:30-19:30LO
㊡ 不定休