世界中の一流パティシエが集うパリで愛される名店「Sadaharu AOKI」の
軽井沢でしか味わえないコンフィチュールやケーキが並ぶ夢のような空間
目次
行き場を失った果物を
コンフィチュールで有効活用
仙石 ここでは最初、コンフィチュールの販売だけでしたよね。
清水天子さん(以下敬称略) コンフィチュールの工場として2020年の10月にオープンして、2021年の7月にケーキのブティックという役割も担う店舗となりました。コロナ禍で捨てられてしまう果物をどうにか活用したいという想いで、美味しい果物をたくさん使用したコンフィチュールの作成に取りかかったことがきっかけでした。
軽井沢店ではコンフィチュールやナッツ、「パート ド フリュイ」というゼリー状のお菓子を製造。他にも紅茶や焼き菓子など種類豊富なアイテムが通路の両側にズラッと並んでおります。ガラス越しに工場の様子を見ることもできます。
仙石 なぜ軽井沢だったのでしょうか。
清水 もともとアオキシェフが道の駅など長野県が大好きで、その土地になる生産物を使うこと、そして長野県の良いところを広く伝えることに魅力を感じておりまして。フルーツの他にも、長野県で生産されたお米や野菜の「ここが美味しい」「ここが他と違う」ということをよく教えてくださいます。その中でも、幼少期から関わりのあった軽井沢を選んだそうです。
仙石 長野の農産物がさらに美味しくなるのは嬉しいですね!コンフィチュールとジャムは違うのでしょうか。
清水 コンフィチュールはフランス語で「ジャム」という意味ではあるのですが、アオキのコンフィチュールは、グラニュー糖ではなく氷砂糖を使用することで、フルーツの美味しさを一番味わえる形で煮込むということにこだわっております。
イチジクとオレンジとクルミを使用した「フィグ オランジュ エ ノワ」は、クリームチーズと一緒にバケットに乗せる食べ方がオススメ。
仙石 さらっとしていて、食べやすいですよね。何種類くらいあるのでしょう。
清水 今は70種類以上あって、他の店舗でももちろん扱っておりますが、ここまで種類を用意しているのは、製造地点の軽井沢店だけです。
仙石 一番人気はどれですか。
清水 軽井沢ガーデンファームさんのイチゴを使った「フレーズ カルイザワ シトロン」というイチゴとレモンのコンフィチュールが一番人気です。
長野県の美味しい素材を
さらに昇華させたスイーツ
仙石 軽井沢店限定の商品にはどのようなものがありますか。
清水 パイ生地にフルーツが乗っている「フィユテ オ フリュイ」という商品に使用しているフルーツは、長野県産のフレッシュなものをシーズン毎に旬のものを使用するようにしております。夏はイチゴなどベリー系になりますし、プルーンや冬の初旬は柑橘。あとはサツマイモをバターやバニラなどでソテーした温かいものを乗せたり。イチゴのタルトも軽井沢のイチゴを、モンブランも小布施町の和栗のペーストを使用し、軽井沢店限定の商品は地元のものをオススメできる商品になるようにしています。また、素材本来の風味や食感を活かせるように、調理方法も工夫しております。例えば、タルトタタンはあまりかき混ぜてしまうとリンゴが煮崩れてしまうので、1時間かけて弱火でじっくり煮込んで、さらに1時間かけて焼き上げて仕上げます。コンフィチュールも、イチゴのコンフィチュールは食感を残すために実が崩れないよう速度を調整します。逆に、シャインマスカットのコンフィチュールは糖度やペクチンを均一にするために、先にフードプロセッサーにかけてから煮詰めます。同じレシピでもフルーツの糖度などによって味や食感が変わってきてしまうので、フルーツの状態によってその都度調理方法を調整しています。
仙石 素材の状態によって調理方法を変えるのは大変ですね・・・。商品は全て日本で製造しているのですか?
清水 マカロンは主にパリから直輸入のもので、「和栗」だけ日本で製造しております。パリのサダハル・アオキを訪れてくださった方に、パリと同じものをご用意しておりますとお伝えすると、「あの味が食べられるのね!」とおっしゃっていただけて。他にもショコラやクロワッサン、パイ生地などはパリから輸入しております。原材料の関係で、例えばクロワッサンであればエシレバターを使用しているので、パリで製造するようにしております。
仙石 今後の取り組みについて教えてください。
清水 ここは長野県のものをイチオシにしていて、お客様も軽井沢店限定というところに魅力を感じてくださっているので、それはこれからも変えずに、他の店舗にも商品を広げていきたいと思っております。軽井沢店限定の商品も試作を重ねておりますので、ご期待ください。
デギュスタシオンは、左からショコラプララン(定番)、サヤ(イチゴとホワイトチョコレート/定番)、チーズ(定番)、ショコラとフランボワーズ(シーズン限定)、バンブー(抹茶/定番)、コーヒーとヘーゼルナッツ(シーズン限定)。「サヤ」はアオキシェフの娘さんのお名前から。プレートに木を使用しているのは緑豊かな軽井沢ならでは。
pâtisserie Sadaharu AOKI paris アトリエ軽井沢店
〒389-0111
軽井沢町大字長倉2475-9
☎ 0267-41-6817
ショップ 10:00-17:00
サロン 11:00-16:45(16:15LO)
㊡ 不定休