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軽井沢グルメ探訪記「揚羽屋(あげはや)」

かつて島崎藤村が通った一ぜんめし揚羽屋を引き継ぐ

田中:とても雰囲気のある建物ですが、このお店をはじめられたキッカケは?

竹尾さん(以下敬称略):夏、涼しい場所に拠点がほしいと物件を探していた時に揚羽屋に出会いました。 島崎藤村が通った「一ぜんめし 揚羽屋」として有名な建物で、築約130年。大家さんは取り壊しも検討していたのですが、伝統ある揚羽屋を守りたいと、店を継ぎました。「ここにかつて藤村が通った一ぜんめし屋がありました」という看板があるのと、食事ができる建物が残っているのとでは価値が全然違いますから。2階は1日1組限定の宿泊施設です。ワンフロア貸し切りなので、かなり広いですよ。

田中:お料理もとても美味しいです

竹尾:夜は居酒屋として、東信地方の地酒やおつまみを中心に提供しています。ランチは日曜だけですが、とんかつをはじめとした定食が好評です。
ごはんは気兼ねなく食べてもらいたいのでおかわり無料。先日は「お米が美味しいと思ったのは初めて」と言われ、こちらが感激しました。コンテスト優勝経験者の五郎兵衛米を使っています。

▲ ランチの看板メニュー「ソースかつ定食(1,580円)」
豚肩ロース肉のとんかつと、ごはんには五郎兵衛米を使用。ご飯のおかわりは無料 。

田中:宿泊施設として運営している2階は、床材や窓枠など細部にかなり歴史を感じますね

竹尾:壁や梁の色を調整するなど、少しだけ手は加えていますが、できるだけ昔の息遣いを体感してもらえるようにしています。古い建物が飲食店や宿として活用されることで、藤村がいた空間を「体験・体感」していただきたいです。

▲ 1日1組限定の2階宿泊施設部分。
写真は15畳2間が連なる30畳の「藤村の間」空間に足を踏み入れると当時の空気を感じることができる。

田中:こうした木の窓枠も今では貴重で、見る機会すら少ない珍しいものですね

竹尾:体験という意味では、今年は島崎藤村没後80年を記念し「小諸 初恋」を発売しました。りんご、そば粉、くるみを使ったフィナンシェタイプの焼き菓子です。小諸ならではの材料を使い、「運べる小諸」を目指しています。ギフトやおみやげにぴったりと、すでにリピーターもいらっしゃいます。

▲島崎藤村没後80年を記念し発売した「小諸 初恋」。
りんご、そば粉、くるみを使ったフィナンシェタイプの焼き菓子。

田中:これからこのお店をどうしていきたいと考えていますか

竹尾:小諸の宝である揚羽屋が存続し続けるよう、お店をもっとはやらせ、次の世代に引き渡したいです。小諸市民の憩いの場として愛されることを見守りたいですね。

しなの鉄道 小諸駅から徒歩2分
小諸インターより車で7分県道141号線相生町交差点至近

揚羽屋(あげはや)

〒384-0031
長野県小諸市大手1-3-17
☎ 0267-31-5593
金・土17:30~22:30/日11:00~14:00
㊡ 月・火・水・木
※現在飲食部門は予約営業のみ

▲夜のおつまみメニューも充実
▲佐久や伊那など信州の地酒も数多く取り揃える
▲ 自家農園の野菜を使った揚羽屋サラダ(660円)ドレッシングも手作りで提供している
▲人気メニューの馬刺しは脂の乗ったA5ランク
▲創業当時の揚羽屋の外観写真。当時の息遣いを感じる貴重な1枚